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Otolog

聴いた音楽を淡々と書き連ね
Jan 18, 2008
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Paul Giger - Ignis

Paul Giger - Ignis : ECM 1681

  • Label : ECM New Series
  • Release Date : 2000 Jun, 5
  • Catalog No. : ECM 1681

Paul Giger : violin, violono d’amore
Marius Ungureanu : viola
Beat Schneider : cello
Estonian Philharmonic Chamber Choir
Tõnu Kaljuste : conductor

Tracklisting :

  1. Organum
  2. Karma Shadub
  3. Tropus
  4. Alleluja
  1. O Ignis

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「Paul Giger – Ignis」 CD全体の感想:

 ECM New Seriesの中でも、特にお気に入りのアーティストが、この Paul Giger / パウル・ギーガー 。ヴァイオリニストで、スイス生まれ。実は音楽を学ぶ以前には、旅の大道芸人をやっていたという非常に珍しい前歴の持ち主。

 彼の作品は聴く人によっては「単調」という印象をもたれてしまったりもしますが、彼の音楽はその「単調さ」にこそ特徴付けられているとも言えます。ミニマルで、アンビエントで、ある意味ドローンミュージックとも通じる、その音の微妙な移り変わりや、音と音の合間に垣間見える美しさを感じることが出来れば、彼の音に酔いしれることになるでしょう。

 他のCDではバッハとかを演奏していたりしますが、このアルバムでは、 Organum / オルガヌム や、古代ローマ以降初の女性の作曲家であり、中世ヨーロッパ最大の賢女とも称される Hildegarde von Bingen / ヒルデガルト・フォン・ビンゲンSt.Gallen / ザンクトガレン修道院 の僧侶達の古楽などを元ネタにした曲編成。

 Niguliste Churchという教会での録音だそうですが、包み込まれるような音響やアルバム全体を通した雰囲気は非常に綺麗で、また、 Tõnu Kaljuste / トヌ・カリユステ が率いる、世界一美しい響きを持つ合唱団、 Estonian Philharmonic Chamber Choir / エストニア・フィルハーモニック室内合唱団 との演奏も素晴らしい作品。ECM New Seriesや現代音楽が好きな方は必聴に値するCDだと思います。

各曲の感想:

 1曲目、Organum。同じ名称の中世ヨーロッパで流行した合唱技法がネタです。とは言え、合唱は殆どなし。合唱曲を別の楽器で演奏するというのはPaul Gigerのアルバムでは割と多く見られる気がします。

 個人的にどんなアルバムも2曲目には良い曲が入っていると思うのですが、この作品でも白眉は2曲目、Karma Shadub。イントロから、祈りのような読経のようなドローンな合唱が、10分あまり続きます。変化の乏しい中にも徐々に後半への布石となる盛り上がりを見せていくのですが、11分前後から唐突にその静かな流れから浮き上がってくるようなコーラスと、弦楽器との絡み合いが非常に美しい作品。悲壮感すら漂う音に圧倒されます。

 3曲目、Tropusは前曲との構成は逆に、弦楽器から入って、コーラスへと変遷していきます。アルバム全体を通して言えることたと思いますが、古楽のアレンジということで、メロディー等上手くネタ元を残している印象。この曲も後半の盛り上がりが良いですね。

 なんとも爽やかな印象の4曲目、Allelujaへと続き、表題曲の5曲目、O Ignis。前述のHildegarde von Bingenによる楽曲が元ネタだと思われます。これまた美しくも悲しい印象の作品。途中に入ってくるヒステリックなバイオリンの響きやコーラスにはっとさせられます。全体的に曇り。途中雲の間から光が射すような展開がありながらも、すぐにまた分厚い雲にその光を遮られます。でも、そこが良い。